合原ちひろの絵日記@鹿児島市

~清く まっすぐ おもしろく~

災害から「生き抜く」ためのまちづくり(中核市サミット2020in倉敷)

↑昨日の続き。
基調講演の後は、パネルディスカッション。

中核市サミット 2020

第1会場の『災害から「生き抜く」ためのまちづくり』に参加しました。(第2会場は『コロナに「打ち勝つ」観光文化のまちづくり』でした。)

中核市サミット 2020

コメンテーターは、基調講演でお話しくださった東京大学大学院情報学環特任教授で日本災害情報学会会長の片田敏孝さん。
 

中核市サミット 2020

コーディネーターは、岡山大学地域総合研究センター長の三村聡さん。

パネリストは、福島県いわき市の清水敏男市長、長野県長野市加藤久雄市長、広島県呉市の新原芳明市長、岡山県倉敷市の伊東香織市長、福島県福島市の木幡浩市長でした。

例によって、かいつまんで書きます。

中核市サミット 2020

いわき市長は、いわき市において初めて「大雨特別警報」が発表された令和元年東日本台風におけるいわき市の対応についてお話しくださいました。

災害発生の約1週間前に常設の災害対策本部室・リエゾンスペースなどの整備が完了していたことが功を奏したとのこと。

災害情報伝達については、東日本大震災の教訓から防災情報等を迅速かつ的確に周知するために、①緊急速報メール(エリアメール)、②市防災メール(登録制)、③市ホームページ、④SNS(フェイスブックツイッター)、⑤テレビのデータ放送、⑥コミュニティFMの緊急放送、⑦広報車など多様な手段を活用した情報伝達の多重化を実施していたそうです。

しかし、それでも「伝達内容が分かりにくい」「聞こえなかった」との声があり、高齢者等の要配慮者にも効果的な情報伝達が必要だという課題がありました。

そこで、①発信する情報は、文章から箇条書きに改め、②高齢者等の情報弱者に防災ラジオの無償貸与、③消防団、消防署から水防信号を実施したそうです。

また、自家用車の水没等により移動手段を失った方を対象に、最寄りの商業施設までの無料送迎バス(買い物支援バス)を運行したり、給湯設備の破損等により自宅で入浴が困難になった方を対象に、入浴施設までの無料送迎バス(入浴支援バス)を運行したりされたとのこと。

とにかく「市民の声を聞いて、できることは何でもやる。」の姿勢で災害対応にあたられたとのことでした。

中核市サミット 2020

長野市長は、令和元年東日本台風を経験して伝えたいことについてお話しくださいました。

緊急事態が迫っている中で、越水現場で警察が声がけをしても避難しない人や畑で様子を見ている人がいるという報告を受けたことから、市長自らが防災行政無線で避難を呼びかけました。

堤防整備だけでは安心安全は保証できません。
過去に何度も大水害を経験した地区の住民は自ら身を守る危機意識が高く、この危機意識の高さが、人的被害を最小限に抑えることにつながったそうです。

避難所運営は、現場の職員に権限を与えて住民のニーズに応じた迅速な対応を目指し、不安を抱える避難者の生活再建を促すために、いつ新しい生活を始められるのかの見通しを示したとのこと。

その後も被災者見守り支援担当を配置し、被災者の見守りをしていらっしゃるそうです。
 

中核市サミット 2020

呉市長は、平成30年7月豪雨災害の経験を教訓にした防災・減災に向けた新たな取組についてお話しくださいました。

平成30年7月の豪雨災害では、多くの人的・家屋等の被害に加え、断水の長期化や大量の災害廃棄物等が発生し、商工業や観光等の産業面に大きな影響を及ぼし、また、土砂災害等により、市内各所で道路や鉄道が被災したことで、深刻な交通渋滞が発生し、市内外の人流・物流に多大な支障をきたしました。

そこで、防災・減災に向けた新たな取組を始められました。

①情報伝達の見直し
これまでのデータ放送や防災情報メール配信サービス、緊急速報メール、防災行政無線に加え、自治会へのファクシミリ一斉送信、固定電話へ音声で案内する”一斉電話サービス”、呉市公式LINE・Twitterアカウントを開設。

②避難所のあり方の見直し
地域に身近な一時避難所として民間保育園を活用したり、避難所の備蓄物資に発電機や投光器等を導入したり、一部の避難所の空調設備整備やトイレの様式化などをすすめたりしました。

③その他
地域井戸の利活用の推進、災害時協定の締結、自主防災会等による避難訓練実施の促進、災害記録誌の発行。

「自らの命は自らが守る」意識の醸成と、「自助・共助」と「公助」の連携促進による災害に強い、幸せで魅力的な都市「呉市」の実現に向けて取り組んでいらっしゃいます。

中核市サミット 2020

倉敷市長は、観測史上1位の降水量を記録した平成30年7月豪雨災害の経験を生かした災害に強いまちづくりについてお話しくださいました。

特に”真備地区”では、4400ヘクタールのうち1200ヘクタールが水没し、市街地が深さ約5メートルまで浸水しました。この地区でお亡くなりになられた方は73名、全壊・大規模半壊等は5753世帯も。

7月7日地区全域が断水。
住民の衛生状態確保・熱中症予防、復旧活動のために”飲用不可”とした上で7月9日に通水を開始しました。(7月24日には全域で飲用可の状態に)

治水対策はもちろんですが、住まいの確保も重要です。
倉敷市では、借り上げ型仮設住宅(最大3030世帯)、建設型仮設住宅(最終的に266戸整備)、被災高齢者への住宅再建支援(60歳以上の被災者を対象として、自宅再建を支援するため、住宅金融支援機構と連携して全国初の制度を創設。114件)などで住まいを確保しました。

その他、学校教育の復旧、被災者の見守り支援、住民自らが命を守る避難行動への転換、災害公営住宅を活用した浸水時緊急避難場所の設置、学校における防災教育の推進等もなさっています。
 

中核市サミット 2020

福島市長は、災害から「生き抜く」ためのまちづくりについてお話しくださいました。

自然環境・社会環境の変化により、災害は大規模化、激烈化、複合化、頻発化しています。未曾有の巨大複合災害である東日本大震災もありました。

福島市は、扇状地であり、東側は洪水災害、北側は活断層による震災、西側は火山災害や土砂災害のおそれがあります。

令和元年の台風19号の際には、プッシュ型の被災者支援や、罹災データの即時共有・迅速発行され、県内市町村の応援を数多く受けたそうです。

この台風19号を教訓に、情報収集伝達体制の強化をはかるとともに、新たな連携を始められました。

①維持修繕作業の相互実施
②通信復旧に関する協力
③福島刑務所への避難者受け入れ(約340名受け入れ可能)
④ホテル旅館への妊産婦等の受入
⑤多様な事業者との連携
⑥町内会と事業者の防災協定など

市長として、全体の動きを把握する工夫をし、予測能力の向上を踏まえた決断をしていくことが重要だとお話しされました。


と、つらつらと思い出しながら書いてまいりました。

こと防災や減災においては、私たち一人ひとりが「自らの命は自らが守る」という意識をもって、備えていくことが大切だなと改めて思いました。公助を充実させ、共助のためのサポートをすることも大切ですが。

地域の特性はそれぞれ異なります。自分たちが暮らしている地域ではどんな災害が起こる可能性があって、どんな備えをすればよいのか、再確認しましょう!

他都市のさまざまな工夫や実践を学び、鹿児島市をより安心安全なまちにできるよう努めてまいります。

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