合原ちひろの絵日記@鹿児島市

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所有者不明土地・防災の今後とその解消に向けて

2022年9月30日(金)、城山ホテル鹿児島で開催された土地家屋調査士制度制定70周年記念シンポジウム「所有者不明土地・防災の今後とその解消に向けて」の講演を拝聴しました。

土地家屋調査士制度制定70周年記念シンポジウム
現代社会における土地法制の課題と対策」は国土交通副大臣豊田俊郎参議院議員、「所有者不明土地問題に対する政府の取組と行政上の対策について」は国土交通省不動産・建設経済局土地政策課長の高山泰氏、「所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し」は法務省大臣官房参事官の大谷太氏がお話しくださいました。

相続が発生してもすぐに登記をせずに、そのまま数次相続になるなどして、公簿情報などを参照しても所有者がすぐにわからない「所有者不明土地」が増えてきています。

所有者不明土地は、2016年時点で九州(約367万ha)よりも広い約410万haと推計され、増加防止策が進まないと、2040年には北海道(約780万ha)程の広さである約720万haに増加すると推計されています。

どんなときに困るかと言うと、例えば道路を新しく作ろうとしたときや、台風などの被害で急傾斜地が崩れたときの対策工事をしようとしたとき。

土地の登記が昔のままで(例えば明治時代のまま)、相続人が多数になり、また、その一部が特定できないなど、工事を進めることができません。

そこで、平成30年に所有者不明土地法制定、令和2年に土地基本法改正、令和4年に所有者不明土地法改正が行われました。(令和3年には民事基本法制の見直しも。)

これらの土地に関する法整備についてより詳細に知りたい方は、下記の国土交通省のサイトをご覧ください。→人口減少時代における土地政策の推進~所有者不明土地等対策~ - 国土交通省

NPO法人つるおかランド・バンクの活動も参考になります。→NPO つるおかランド・バンク | Tsuruoka Land Bank

空き家対策や所有者不明土地対策をうまく連携させ、地域をより豊かにする取り組みが進んでいくよう、学びを深めなければならないと思いました。

先程少し触れましたが、民事基本法制も見直されました。

民法等の一部を改正する法律が令和3年4月28日に公布、相続等により取得した土地所有権の国庫への帰属に関する法律(相続土地国庫帰属法)も令和3年4月28日に公布されました。

所有者不明土地の発生原因の63%は相続登記の未了、33%は住所変更登記の未了だそうです。

これまで相続登記は義務ではなかったため、相続が発生しても、家や土地の名義変更をしていなかった人が多かったのでしょう。と、他人事のように書きましたが、うちも実家の土地と建物の名義が亡き父のまま(-_-;)

不動産登記法が改正され、2024年4月1日からは相続登記が義務化されます。(正当な理由のない申請漏れは10万円以下の過料)

うちのように、施行日(2024年4月1日)前に相続が発生していた場合でも、施行日から3年の間に相続登記をせねばなりません。

他に身近な問題として1つ。

民法改正により、隣の土地から木の枝がはみ出してきている場合に、越境された土地の所有者は、①竹木の所有者に越境した枝を切除するよう催告したが、竹木の所有者が相当の期間内に切除しないとき、②竹木の所有者を知ることができず、又はその所在を知ることができないとき、③急迫の事情があるときは、枝を自ら切り取ることができるようになります。

ここで気をつけるのは、2023年4月1日施行であることと、原則としては竹木の所有者に枝を切除させる必要があることです。

書きたいことは他にも山ほどあるのですが・・・詳しくは法務省のサイトをご覧ください。→法務省:所有者不明土地の解消に向けた民事基本法制の見直し(民法・不動産登記法等一部改正法・相続土地国庫帰属法)

今回、所有者不明土地に関連する法律について学ぶ貴重な時間を過ごすことができました。鹿児島県土地家屋調査士会の皆様、ありがとうございました!

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