合原ちひろの絵日記@鹿児島市

~清く まっすぐ おもしろく~

脳に影響をおよぼす、マルトリートメント

11月12日から25日は、女性に対する暴力をなくす運動期間。
22日(日)の午後に鹿児島市が開催した『DVと子ども虐待~日常に潜むマルトリートメントが脳におよぼす影響とは~』を拝聴しました。

DVと子ども虐待講師は、福井大学子どものこころの発達研究センター教授の友田明美さん。福井大学医学部付属病院の子どものこころ診療部(小児科医6名、児童精神科医9名、心理士8名在籍)の医師でもあられます。

以下、拝聴した内容の中で皆様にもお伝えしたいことを書きます。

マルトリートメントとは?

マルトリートメントとは、マル(悪い)トリートメント(扱い)、つまり”子どもへの避けたいかかわり”のこと。子どもの発達には、遺伝・環境・年齢が大いに関係します。

全国の児童相談所の虐待対応件数は、1990年度の1,101件から2019年度は19万3,780件に増加しており、その数は年間の出生数の15%にあたります。特に、心理的虐待は10万9,118件(56.3%)で過去最多。

マルトリートメントのWHO(世界保健機関)の定義は、「身体、精神、性虐待、ネグレクトを含む児童虐待をより広くとらえた、虐待とは言い切れない大人から子どもへの発達を阻害する行為全般を含めた不適切な養育」です。

”かぎっこ”や”子どもが嫌がっているのに、親が裸でうろうろしたり、一緒にお風呂に入る”こともマルトリートメントにあたります。

マルトリートメントは、生涯にわたって、個人の身体・精神の健康を損ない、ひいては国の経済発展と社会成長を遅らせることにつながります。

子どもの脳への影響

乳幼児期に脳は育ちます。(特に1歳頃が著しい)

ことばの暴力は、"脳の聴覚野"を変形させます。
脳が変形して、聴覚的記憶力が落ちてしまうそうです。ことばの暴力は、叱りつけ、侮辱、はやし立て、恐怖を与える、卑しめる、過小評価など。目に見えないからこそ留意しなければなりません。

また、厳しい体罰は、感情をつかさどる"脳の前頭前野"を変形させます。頬を叩く、長時間正座をさせる、ご飯を与えない等は体罰です。

児童虐待防止法児童福祉法が改正され、体罰禁止が法律に明記されました。(2020年4月施行)

ぜひ、↑こちらのサイトもご覧ください。

両親間のDVを目撃しても

両親間の”ドメスティック・バイオレンス(DV)”を目撃した子ども達の脳は傷つきます。(DV目撃もマルトリートメント)

心理的外傷後ストレス障害うつ病、不安障害、攻撃的行動、自殺企図・念慮、摂食障害睡眠障害、認知・行動発達の遅れなど子ども達の健康に大きな影響を与えます。

特筆すべきは、身体的な暴力を目撃するよりも、怒声や暴言を見聞きした方が子どもの脳に深刻な影響を与えること。(6倍以上)

子ども達のためにも、親によりそう、つながっていくことが大切です。

愛着(アタッチメント)障害

5歳以前の養育者との異常な関係は、アタッチメント障害をもたらしやすいです。

”他人に関して無関心””用心深い””イライラしやすい”といった内向きタイプのアタッチメント障害、”多動””友達とのトラブルが多い””人見知りがない”といった外向きタイプのアタッチメント障害があります。

特に1歳頃にマルトリートメントを受けると、意欲・喜び・ご褒美への脳の活動が最も低下してしまいます。

また、4~7歳の頃にネグレクトや重複する虐待を受けると脳の視覚野が小さくなるとのデータも。←記憶力や学習能力の低下につながります。

癒されると回復する!

愛着の再形成をすると、成長の遅れも脳の活動も回復します。

トラウマの処理もお話しくださったのですが、持続エクスポージャー療法とかEMDRとかTFTとか・・・専門的過ぎてわからず。ここは専門家にお任せする部分が大きいかな。

私たちができること。
それは、子育てに困っている人をサポートすること。子育てが”孤育て”にならぬよう、子ども達をみんなで育てる意識をもつこと。

マルトリ予防サイト「防ごう!まるとり マルトリートメント」に、”マルトリに対応する支援者のためのガイドブック”が掲載されていますのでご活用を!

アレント・トレーニング(親の訓練)をすると、親の育児ストレスが改善し、子どもの注意機能が向上し、子どもの注意の問題行動が改善するとの検証結果があります。

「子ども達だけでなく、その親にも寄り添いましょう。親も人。完璧な子育てはありません!」と友田さんはお話を締めくくられました。


「誰かに任せればいい。」と投げるのではなく、「自分が頑張ればいい。」と無理しすぎることもなく。意見Avs意見Bと対立しすぎるのではなく、対話してCという案を出すなど、スマートに、ともに支えあえる社会をつくっていきたいですね。

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